とんび歳時記ー旭川下流のいろどり1
とんび歳時記ー旭川下流のいろどり1
 出石町と後楽園をむすんでいる鶴見橋、使っている建材はごく近々のものであるが古色然のいでだちを設計しているので一見、風雅な橋で、江戸中期の風潮をかさねあわすと髷を結う人間の往来が欄干とすりあって歩いてもおかしくない。
 後楽園の杜をとりこんで岡山城の裾をあらいながら滔々と流れる旭川に鶴が翔べば一幅の画になる。
 さて、歴代池田藩主がめでたかどうかはわからぬが、対岸の岡山城と後楽園を舟で往復して憩った藩主であるから、なきしにあらずである。
 
とんび歳時記ー百閒川のいろどり2
 なにもなかった縁や背高くのびた葦のふところに水草がはびこるようになった。なかでもホテイアオイがあちこちに株をふやして群落をつくり、薄ムラサキの花を咲かし水質に似合わず貴品のある雰囲気をみせるようになった。
 ところどこにあれば水質を浄化する役目をはたしてくれるが、水面を覆うほどに繁茂するとかえって水質を悪化させて水棲動植物に害をあたえるようになる。とてつもなく繁茂する倉敷川のホテイアオイ刈り取り作戦がよく報道されるのは、このことであり、家庭から流れ込む排水で高富養度の状態になった証である。
 海の赤潮に似た濁りが毒々しく屯っていて、百閒川にも水流が澱むとこの状況がみられる。
 適度に繁茂して本来の役目をはたしてもらいたいものだが、人の生活のありかたに要因のかかわりが大きい。
とんび歳時記ー百閒川のいろどり1
 カイツブリの巣。
 県下のため池にハスとかヒシが水面に繁茂するのが今頃、カイツブリはそんな環境状況に合してかどうかわからないが枯枝枯葉、なかには人工ゴミのようなものを集めて浮揚巣をつくり産卵し孵化する。カイツブリそのものが黒褐色の全身であることに加え巣づくりの材料が同色なので、なかなか水鳥の巣とは断じ得ない。側頭部から首にかけて茶褐色の帯があるが遠目の肉眼ではわかりにくい。
 双眼鏡かズームの利くカメラであれば判別できる。
 4個の産卵が通常で本巣では4羽の雛鳥が確認されているようなので全て孵化していることになる。
 
とんび歳時記ーお散歩フレンド8集合!
とんび歳時記ーお散歩フレンド8集合!
 美々ちゃん、鈴ちゃん、ココちゃん、バロンちゃん仲良し集合!

 暑さをのりきってみんな元気、一匹でさびしかったバロンはフレンドに出会って喜び、はねまわる。
 食欲もおとろえず、おやつにはみんな顔を揃えそれぞれの表情をみせてせがむのである。
 お盆がすぎて、朝と夕のおちついた気温が愛犬たちをつつみ、労わってくれているようだ。もうすぐ秋、跳ねまわってもっと遠くへ行こう。
 
 
とんび歳時記ー旭川湖畔のいろどり3
とんび歳時記ー旭川湖畔のいろどり3
 県道30号線が建部と美咲の境界域あたりの栃原地区にさしかかると、90度左折する箇所に出くわす。真っすぐは道細くなりやがて川幅も細くなって渓谷の相をなし狭隘の谷を登りきれば棚田百選の[はが]にたどり着き、その途中、初めての従軍記者で卵ご飯を広めた岸田吟香の生家と記念碑も見られる。
 しかし余程でないと旅人は狭隘の道程はえらばない。
 人は広い幅のある方を選んで安心感を得るものである。
 
 
とんび歳時記ー旭川湖畔のいろどり2
とんび歳時記ー旭川湖畔のいろどり2
 今は知らないが、何十年前はヘラブナ釣りのメッカで名をはせていて遠くは京阪神の人が多く遠征にきて釣座をしめていたように記憶している。背に急斜面の藪を負い、張り出した岩に彼方此方と人がいて僧侶のそれのように黙然と坐しながらときたま長い竿をふっていた。対岸の桜の樹下でその動きのない光景を見ていた当方も気がながかった。一向に釣果がなくて痺れがきれ立ち去っていた。
 どこからあのポイントにたどりついたのか疑問におもってていたが、モータボートの渡しを利用していたのだ。
 いつごろからか、ちっちゃな私艇がミズスマシのように増えて水面をはしりだし絶えまなく竿を操作する釣りがはばをきかすようになってきた。
 いうまでもなくヘラブナからバスなどの外来種あいてにルアーのキャスティングしているのである。深い濃緑にしみこんで、いずれの釣り方にせよ自然に同化してしまえば壮快につきる。

 *註 画像上 ボート係留筏
     画像下 釣人孤舟
   
とんび歳時記ー旭川湖畔のいろどり1
とんび歳時記ー旭川湖畔のいろどり1
 国道53号線は福渡で左折すると県道30号線で、いわゆるこれが出雲街道と地図上に記述されていて古来から山陰へむかう主道のひとつだった。30号線としての道なみでいえば美作落合で国道313号線に吸収され、ついで久世で181号線にだきこまれ、はては勝山の街中でふたたび313号線に分離独立し下蒜山の中国山脈を切通して因幡の倉吉へながれつく。
 まさに旭川河畔をうねうねと羊腸のように吉備高原から中国山脈をつらぬく緒が県道30号線であるわけだ。
 ドライブ中、左側の川面をみると渓流のごとき石を噛む流れがみえ中流域とはみえないのだが、それというのも旭川第一・第二発電所旭川第一ダム・第二ダムが堰になって流勢をそいでいるからである。
 わけても神瀬地区の第一ダムは湯原ダムに次いで巨大な構築物であって満々たる水量を湛えている。上流の鮎をはじめとする棲息魚はここで下流域にくだることを阻止されていた。
 堰堤対岸は吉備高原町加茂川域にある本宮山がでんと座っていて西麓には山岳仏教の聖地円城寺がある。
 おどろきは、なんといってもこのダムあたりまで岡山市の行政域であることだ。

 註:画像上は旭川第一発電所ダム 下は第二発電所ダム

とんび歳時記ー備中路1・水田花文字
 故郷の備中川は吉備高原に端を発し真庭は落合を尾として旭川にそそぐ。
 農耕の盆地を貫き田畑を潤すことを旨としてこの川はなりたっているし、指折りしても10指では足りないほどの多くの想い出を今になおかもしだしていてくれている。その水田橋の下手堤防に花文字の枠がつくられ、別地に育てられているコスモスがやがて移植され[水田]の花文字が浮かびあがってくるしかけだ。
 

 
とんび歳時記ーお散歩フレンド⑦
 [マルチーズ] ライブくん ♂ 13才 & バロン 
とんび歳時記ーサギソウ
とんび歳時記ーサギソウ
とんび歳時記ーサギソウ
 一輪が開花すると日をかぞえて咲きだし、小さな鉢は白い清楚な花で彩られる。茎がほそながくて、絶えず微風にゆれるのをみると、白鷺が群れて翔んでいるようであり飛行機が滑空しているようでもある。
とんび歳時記ー夏鉢に飛来したサギ
とんび歳時記ー夏鉢に飛来したサギ
 サギソウは盛夏に開花する。
 どうにもこうにも沸騰するようなナベ底の暑い時期になにを好んで咲くのか。
 射る陽光を浴びて、停頓流れのない湿地にいとも涼やかな装いで咲いている。
 数年前、野にこの花を求めて徘徊していたときはウサギの身軽さで些少の若さはあったとおもうのだが、いまは鈍牛のなれの果てである。
 自生地は里山の谷合にある湿地に咲いている。その環境と状況をおもうだに、脇のしたや背に汗のしたたるおもいがするほど過酷である。

 8月6日の我が家の鉢に忽然サギが飛んできた、それは繊細な飛翔で音もなく翼をやすめていた。そっと、足音をしのんで見守る。

 
とんび歳時記ー畔の花火
 水田の畔道や休耕田の叢にカヤツリスゲが繁茂している季節。
 カヤツリは蚊帳吊りだから四方の隅に葉状の稜茎を節節ののばし、その先端に空に舞う花火のさく裂のような小穂をつける。派手な色あいでなく緑一色の極地味な植物。あたかも形は蚊帳を吊った具合であるし、野馳の線香花火のようでもある。この花をみると、お盆で里帰りした姉と風呂あがりの縁台でスイカを食べながら花火した昔日の想いがよみがえるのである。
 
とんび歳時記ー水門の夕日
 丘陵のすそに夕暮れが忍ぶとき沈む陽のひかりは青田の波をなでながら、農水路の水面の上ををかがやいて奔っていく。
 ゆたかな農耕のシンボル、縦横に縫って水を供給している水路、そして流水を調節する水門の光景は農業立国の原点である。
とんび歳時記ー憎っくきヤツ
 メロンを6本プランターに植え朝な夕な観察して育成していたのにかかわらず、茎枯れ、大きくなってきた実になにものかの齧り取りで未熟落果がつづいた。
 犯人は通称ウリ虫、学名はウリハ虫と断定した。小さな茶褐色の甲虫で日中は活発に飛び交い容易につかまらないが、朝はひかくてき動きが鈍いので葉の表裏や茎を点検すると驚くほど個体がたかっている。つまんで潰す方法しかないのが難だ。
 地中に卵を産み、幼虫が茎をはいあがって食み、成虫になると葉にたかり、まるで網のように食穴を開け陽にかざすと唖然とするほどだ。
 網の袋で実果をつつみこみ、つけこむ隙をあたえないでおくと、いまのところ安全、ただし、甲虫の退治はかぎりないのである。
とんび歳時記ー愛犬バロン⑤
 お暑っうございます、暑中お見舞い申し上げます。
 今年はやけくそ猛暑といっていますが、毎夏おなじことをくりかえしているようで、主人など夏場はかなワンなどと吾輩の顔をみて嘆いています。
 鼻面をうろうろしてなんど着替えシャワー浴びていることか、吾輩などみてみなされ、汗をかかないし毛皮をまとっていてさえ、やすやす弱音をはきませんぞ。
 さればいかように耐暑しているかというと、人間の数百倍の嗅覚で屋内の涼しい場所をさぐりあて冷やっこいタイルの上、風通しいい廊下の箇所を時間差でえらびのうのうとしています。

 もうすぐお盆もきて暑さもすこしはやわらぐでしょう、どちら様におかれましてもお体にきをつけて乗りきられんことを。
とんび歳時記ーゲッゲッのキタロウか
 ゲッゲッゲッ・・・と鳴く。
 水田でゲロゲロと鳴いているのはトノサマカエルなどだが、なかに混じって「ゲッゲッゲッ・・・」とキタロウのように聞こえるのはこのアマカエルで、正式にはニホンアマカエル、本土はもちろん離島や広くはアジア全体に分布している。カエルは水棲動物だがアマカエルは乾燥したところでも十分棲息できて、畑の木や葉に乗り、わけてもコンクリートの塀でも長時間(普段は緑色だがこのときは保護色で灰褐色になる)、不動の生活ができる体生を備えているのは驚異だ。
 画像のは♀で、♂はひとまわり小さい
 人懐こくて、つまんで手のひらにのせてもすぐには逃げないのが特徴。
 つかむとヌルッとするのは、外部からの細菌を防ぐための粘膜におおわれている。細菌からの防護の役目があるので多少の毒性をふくんでいるから、こすって目に入ると失明のおそれがあるらしい。手洗いすれば問題ない。
 触れば妖怪じみてくる。
 
とんび歳時記ー夏雲と芒と
 どこか季節の歯車が狂ってきていると、感じるほうがおかしいのか。

 じっと動かずに直立していても噴きでる汗の玉は滑り台の児のように背中で遊ぶ。皮膚に汗腺をもたない愛犬はピンク色の舌を長くだしていかにも辛そうだ。
とんび歳時記ー逆さ夕日
 市のベットタウンの様相が浸食していて、旧くから残る家屋に接してコンビニのマッチ箱に似た建物がなにやらおかしな田園風景を醸しだしている。
 止水明鏡にばけた休耕田はそのありのままを映しだす。
とんび歳時記ーうしみつ刻のネコジャラシ
 日本名はエノコロクサ、イネ科で日本全国の平地に繁生してあまり人に見返りされることはない地味な植物で雑草あつかい。しかし群生していると陽の光に映えて壮観さえある。穂が風にそよぐときに目線を穂の位置に落とすと別個の植物域にまぎれこんだ気になる。
 エノコロクサの由来は仔犬の尻尾に似ているとこからついて、その穂を猫の顔前で躍らせるとジャレつくのでネコジャラシなどといわれだした。
 属系は多くヒエ、アワも縁続きのあいだがらである。
 
とんび歳時記ーカンナの花咲けば・・・
 唄にうたわれているのは赤色のカンナ。
 茎丈はよく成長すると2メートルにもなり、光沢のある革質の葉を繁らせ夕暮れに水遣りすると夕立ちが襲ったようにおおきな喧しい音をたてるので迷惑なこともある。
 花弁も大きくて主流は赤色、以前めずらしかった黄色は観賞人工栽培でいまはたくさん見かけるようになった。花期も大形の花冠をいれかわりたちかわり晩秋までる咲きつづけ、いつまでも暑さをおぼえる植物だ。
 明治末期に渡来したもので繁生力がつよく、わがもの顔にはびこるので、昨年わが家では根絶やしすべく地下茎や球根を掘りあげたつもりだったが、おっとどっこい、今夏は倍かえしに芽をだし茎をのばし黄色の花弁をつけた。
 県北の河川敷にも繁殖していてその逞しさは驚異でさえでもある。
 

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