万歳時記ー旭川のいろどり21・半田山の冬3
万歳時記ー旭川のいろどり21・半田山の冬3
 ロウバイ

 年の瀬から開花して新年のいまは、いささか遅し、張りのある花冠そのものが劣色して萎みがみられる。中央の暗紫ばかりが活き活きして目立つようになっていた。樹として次の段階に進んでいた。
 ソシンロウバイはまだ見ごろ、配水池のある広場に一本ある。全体が薄黄色で艶が照り薄衣のそれで汚れのない妖美を維持して咲いていた。「お奨めはソシンロウバイです」と窓口の人が声をかけてくれた。工事中の重機の脇をぬけ配水池のある広場に行けば、推奨どおり薄衣は陽を浴びて花盛り、見応えした。

 
 
万歳時記ー旭川のいろどり20・半田山の冬2
万歳時記ー旭川のいろどり20・半田山の冬2
万歳時記ー旭川のいろどり20・半田山の冬2
 ニホンズイセン

 場所によっては一足はやく花冠をひらいているのを民家の軒下にみられる。しかし群れで咲いていなくて、いささか侘しげだったが、この花の特性で次々と開花していく。
 群れで開花しているのは、やはり半田山植物園で木々の下に3か所4か所にみられ花の少ない冬季の、清らかな風雅をたのしましてくれている。

 直立した茎は仏焔包葉のなかから伸び、八重の白花は子房の下で横に傾けて咲く。ヒガンバナ科なので全体の姿かたちは相似て、球根もそっくりである。生命力は抜群、いったん庭に植えると翌年はあちこちに芽をだしてくれる。
 
 野生では淡路島、福井県、岡山の島がことのほか名をひろめている。
万歳時記ー旭川のいろどり19・半田山の冬1
万歳時記ー旭川のいろどり19・半田山の冬1
 枝垂れ梅

 あたたかさに誘われて咲くには咲いたが、大寒波にみまわれて元の蕾に還るわけにもいかず、さてどうしたものか思案にくれている。・・・・そんな様子である。
 報道による各地域の降雪は相当なもの、広島の知人は三次から送られてきた積雪に埋もれた集落写真はどこそこと変わらないほどの雪嵩に没していた。亜熱帯の奄美大島さえ難をのがれなかった。
 寒波は世界規模で南下したようでアメリカのニューヨークは非常事態宣言を発令したという。
 
 岡山県南は恵まれている。
 寒冷こそ尋常ではなかったが25日の朝は薄雪こそあれ、青空の陽がさすとたちまち地上から消えてしまった。
 
 

万歳時記ー百閒川のいろどり24・冷たさを泳ぐ
 えらいものを見た・・・。
 足を水にいれて平然としている哲学者風の鳥に慄然としたが、水中に全身をいれて泳ぐヌートリアにはただ唖然である。密命を帯びて渡礁慣行している戦場の兵士ごとき感激的ものだ。明日、シーズン一番の寒気がやってくるというのに。
 
万歳時記ー百閒川のいろどり23・哲学にも諸々あり
 青鷺と白鷺

 寒風の冷えた水に足をひたしているのを観ると、冷え症の身には水をぶっかけられたような衝撃がはしる。
 足先に巡らされた血管にどくどくと熱い血が循環してやまないのかもしれない。

万歳時記ー初雪

2016年1月20日 趣味
万歳時記ー初雪
万歳時記ー初雪
万歳時記ー初雪
 前日、白いものが降ってきて嬉しい気分になった。
 大陸から寒気が大きくはりだしてきて、そりに太平洋側の低気圧が吸収され中国地方はおもわぬ降雪の天候になった。
 あたたかい県南に住んでいると、天のおくりものに稚こころの膨らみを感じる。
 朝、おくればせながら外を伺うと薄絹の布をしきつめたような雪景色だった。
 一昔ならうきうきが昂じて新見とか奥津の方へ車を走らせていただろうが、今は切歯して家のまわりを写すだけだ。
よろず歳時記ー旭川のいろどり18
よろず歳時記ー旭川のいろどり18
 ノコンギク 
  
 はなびらの一片がちがうオオガギクというのがあるが、詳細にはよくわからない。
 枯れススキの間にくるまれて健気に咲いていたがここへきてやつれてきた。
よろず歳時記ー百閒川のいろどり22
よろず歳時記ー百閒川のいろどり22
 夕暮れの一葉。
 アフリカの草原に、地を舐めるように駆ける雲と開発を象徴するビル、文明に浸食される文化自然のひとこまが想像隙見できませんか?
よろず歳時記ー旭川のいろどり17・GS公園椿残彩②
よろず歳時記ー旭川のいろどり17・GS公園椿残彩②
 椿の種類はまことに多い。
 この園だけでも覚えきれないほどの種類が植栽されている。
 県の管理から離れて手入れがゆきとどかないせいか、やや蒼茫の感はいがめない、種類の立て札が風雨にさらされて朽ちたものや文字が消えて判明できないのが目立ち、残念な気持ちになる。
 
よろず歳時記ー旭川のいろどり16・GS公園椿残彩①
よろず歳時記ー旭川のいろどり16・GS公園椿残彩①
 養護施設と山際の小道にはさまれて、田畑はひとやすみの状態で黒々とよこたわっている。落葉を踏んで散策したくて園内に入ったがすでに落葉はくすんで朽ち、足下を擽るような感触はえられなくなっていた。
 竜之口山の登山口は園内にいくつもあるせいか出口付近にあつまるハイカーは意外に多い。いちばん人気のあるのが奥まったコースで、稜線の鞍部へつながる道からの人が絶えない。その入り口の横にある椿園が今日の眼目で、林内のなかの分厚い絨毯は目的の感触を十分に満足させてくれた。
 椿の花は大方散り、末枝に健気に残る花冠を愛でることができた。
 
よろず歳時記ー旭川のいろどり15・マメヒルガオ
 通常の開花時期は9月末えまで。
 北米原産の渡来種で残照の堤防に他草にからまってよくみられる。
 行動範囲の狭いエリア内では、旭川の中原地域、百閒川の上流地域で観察できた。
よろず歳時記ー庭の花木2・重ね着の美学
 正月飾りに珍重される葉牡丹はアブラナ科の植物。
 もともとキャベツの突然変異のものが固定種に育成されたもの。門松の脇役に似合い根締めにふさわしい落ち着きをもたらす。
 色あいも多彩になって選択の幅は豊かになった。
 観賞植物というより、一年草の観賞としてとらえた方がふさわしい。
 時期が過ぎて、とうがたって茎に黄色い小花をさかせてみるのも楽しい。
 クローズアップでは繊細なちじみ葉重ねが意外な美的構図をみせてくれる。
よろず歳時記ー庭の花木1・大霜の洗礼
よろず歳時記ー庭の花木1・大霜の洗礼
よろず歳時記ー庭の花木1・大霜の洗礼
 きままな冬将軍。
 一面薄雪のような霜に見舞われた。
 日が昇って跡をみるとナデシコ・レモンは痛々しい傷をかかえていた。
よろず歳時記ー百閒川のいろどり21・塒へ帰る
よろず歳時記ー百閒川のいろどり21・塒へ帰る
 夕まずめ、烏の群団が鳴き声で交信しながら帰途についた。
 川畔の裸木に黒い塊のように羽をたたんだ。
 落葉した枝は雨露おろか夜半の冷えをしのぐ障害物がひとつもないのに、平然と、それも群令ただしくとまったのだ。
 かよわい小鳥とちがい、いささか不気味集団だから鷹などの猛禽類の標的にはならないだろうが、それにしても無防備の夜泊りである。

 かたや群雀(むらすずめ)はまことに賑やか、きれめなく囀る。田畑の昆虫を腹いっぱい漁って川原の枯れ葦のうえを群れ飛び、いつしか深い枯れ葦のなかへしずんでしまった。
 それでもって、いつまでたっても枕かたりに余念がないのである。
 つきあいきれない。
よろず歳時記ー姉と妹と②
よろず歳時記ー姉と妹と②
よろず歳時記ー姉と妹と②
 おもちゃも玩具とはいえない、キーボードとマウスを上手に使うのには、びっくりポンだ。
 
よろず歳時記ー姉と妹と①
よろず歳時記ー姉と妹と①
よろず歳時記ー姉と妹と①
イオンモール岡山にて。

 ただいま食事中、大好きなラーメンを完食、テーブルマナーも姉らしくおっとり。
ふたりとも保育園児なので乗り物とおもちゃには飽くことがない。
よろず歳時記ー黒井山・四季さくら
よろず歳時記ー黒井山・四季さくら
  謹賀新年

 いつもと変わらない朝をむかえました。朝方の冷え込みは身をひきしめるのに十分でしたが、昇陽とともに穏やかな新年になりました。年齢の階段をひとつひとつ昇るにつれ、ひとつひとつ下がる体力を実感しています。この一年、愛犬を相棒に歩数を数えて身近に見られる歳時記を唯一の趣味として探訪していきます。
 
 寒冷に花を咲かせている木は垣根の山茶花と公園の四季さくら、赤と白のめでたさもそこそこという趣きだが北風にたちむかう姿勢は強靭なものがある。
 耐え忍ぶだけが生命じゃない、一輪一輪の咲き重ねに苦境をはじく躍がみえる。

 「・・・茶店を出た小兵衛の肩へ、微風が運んで来た桜の花びらが一つ、ふわりと留まった。」
 この一節は池波正太郎の「剣客商売(消えた女)」に描写されていているものだが、桜は染井吉野の華やかさを彷彿とさせてくれる。四季さくらも風に散華するものの花冠が疎らなのでこうはいかない、花吹雪おろか肩に散るほどの量はのぞめないのだが、静かで落ち着いた風景のなかで辛酸をこえた老骨の肩に一片の花弁が留まれば、その人の心境がにじみ出るのではないか。

 文庫本を机に積んでひそかに文豪の文章を楽しみ、カメラをポケットに歩き、日々をパソコンに記録して、一杯の晩酌に365日を法悦したいものである。
よろず歳時記ー旭川のいろどり14・堰の風景
 民族の発展に水は欠かせない大きな要素である。
 森林に源を発する水は低地に這い谷あいを流れて河川を形成して河口の大海に注いでいき、島国のなせるわざで、いずれの川は合流をくりかえして日本海と太平洋に落ちる。
 縄文弥生古墳時代以前から飲料に、灌漑に生活観の元を生んできた。
 旭川は蒜山を起点にして児島湾に終結しているが、どの河川とも共通して歴史のうえで幾様のトラブルとそれゆえの土木技術の発展がみられる。
  肥沃な備前平野をうるおすのに旭川の水はかかせないが、豊富な水量は反面たびかさなる氾濫をもたらしたために高くなった堤防対策では、川底に堰を築き、その取水にはサイホン方法が用いられている。その効果は絶えることがなかった水争い騒動を鎮めることができたのである。 
よろず歳時記ー百閒川のいろどり20・裏変化
よろず歳時記ー百閒川のいろどり20・裏変化
 川原に咲く野花がなくなった。
 水面も河川敷も、植物は根茎や球根に生命をとじこめ地上には最小の息吹を残して冬眠にはいっている。
 首にマフラーをぐるぐる巻きにして、北風に押され顔を顰めながら歩いていると、水面に根をおろしている大きな木が白花を無尽に咲かしているのを目にした。
 うん?・・・、名も知らぬ木でいつも見ている筈だがと思い、スポーツコートの縁にあるフェンスに近づき観察した。
 風止みの一瞬をみて、白花のからくりが分かった。緑の精気をなくした葉が北風にあおられて裏返り白花のごとく変化していたのだ。
よろず歳時記ー旭川のいろどり13・日暮れ前③
 冬至が過ぎたから、日暮れの明るさは長くなったかなと思うのは、気持のもんだい。
 百閒川の場合、15時半にさい川原橋を徒歩出発して沢田橋までを折り返すると帰途は薄暗い、家についたらとっぷり闇のなかである。

 旭川は、中島中原橋を歩き始めて後楽園蓬莱橋を折り返せば同じような日暮れになる。
 右岸堤防越しに煙突からもくもく白煙を上げている工場があり、併せて蒸気が建屋の裾を噴きつつんでいるときもある。 

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