古寺素描20-能勢妙見山①
古寺素描20-能勢妙見山①
古寺素描20-能勢妙見山①
 日蓮宗の関西随一の霊場で、正式名を無漏山真如寺境外仏堂能勢妙見山と、なんとも長い寺名である。大阪府豊能郡能勢町の妙見山(標高622メートル)の山頂にあり、霊場だけに全山鬱蒼とした森林にかこまれた雰囲気は、薄靄に目隠しされ葉を伝う滴の妖気に重たく滅入った。
 境内の売店からさらに石段があらわれて登段を断念、方向転換したとき同じ気分の女性をみつけ一緒になった。すると売店の人がよってきて石段のない迂回路を教えてくださり、ならばそちらを登ろうとくだんの女性と同行することになった。地道の鬱蒼とした陽のささない小径を、葉溜まりを踏むと水が滲みでるのを避けながら登りつめる。突き当たりは三叉路、左側の傾斜道に大きな鳥居が見え、ようやく頂上の施設にたどりついたとみえ、安堵感が湧いた。鳥居はかっての神仏習合の名残である。それが靄のかいまに点在し屋の輪郭をぼやけさしている。境内右手の施設は神社でみられる社務所の形態、左手は能勢妙見堂や神馬の銅像、はては日蓮上人の銅像があって神仏混淆そのものだが今は仏教だけの霊場
になっている。妙な趣はさらにプロネタニュムのような超近代的な建物が境内北側にあるということだ。


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