古寺素描36-女人高野・室生寺⑤ー奈良
古寺素描36-女人高野・室生寺⑤ー奈良
 喘ぎながら石段をのぼりきると正面に金堂があり、左手に弥勒堂があってこれは鎌倉時代の建造で重要文化財になっている。入母屋つくりで屋根はこけら葺きである。木漏れ日の緑陰のなかに鎮んでいてなおさらに厳かな史歴を醸しだしている。興福寺の伝法院を移築したものと伝えられる。
 観光客は格子戸の外縁に昇殿して堂内を透かし観る。
 本尊の重要文化財・弥勒菩薩立像は厨子に納まって須弥壇に安置、平安時代初頭の優品とされている。脇壇には客仏の釈迦如来坐像が安置され同時代の作でこれは国宝である。
 弥勒菩薩とは如何なる存在か?・・などと不遜ながら思ってみる。
 仏教の経典なぞ素読さえしていない者は概ね解説書をパラパラ捲るだけだが、それでさえ難解の羅列でよくわからない。百科事典に頼った方がはやい。
 要は、弥勒菩薩は未来菩薩ということでまだこの世にあらわれていない菩薩、兜率浄土という処で弥勒は現世でも在して、修行しておられるそうだ。釈迦(しゃか)入滅から56億7000万年後の、はるか未来の世に仏となってこの世にくだり衆生を救済するそうだから、あまりにも気が遠くなる話で信者はさぞかし 待ち焦がれておられることであろう。
  

 画像:弥勒堂
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