季のしずくー春編4・さくら
2017年4月11日 エッセイ
さくらの咲くこの時期、よく雨が降る。
雨は降りはしないがよく曇る。大陸からあるいは日本海で雨雲が発生して列島を覆い尽くす。願わくば晴天のしたでスカッとした花笠を仰ぎたいものだが、粋人好みの花曇りが続いて、一陣の風ではや花弁を散らしても良、瀬の流れにまかせては澱みで渦をまく花筏を眺めて尚良し、枯れた朱塗りの盃に色をのせることである。肴はお重をかさねた手づくりの煮物、焼物が揃えばこのうえなくいいのではないか。
ところが、今日日、そのような趣向は彼方の空にとんでいったようでガスボンベに焼肉、紙コップの酒がはなさかりで喧騒このうえない。酒に馴れない若者が酩酊するととんでもないハプニングを興したりする。
桜は種類の多い樹木のひとつ。汚染の根幹である排気ガス対策のヒマラヤサクラは年末に、一足早くはカワズサクラ、季節季節に咲くシキサクラ、葉を先出して咲くヤマサクラ、それらを人工交雑した種種のものも随分ある。それぞれの愛で方も多様で、日本人の中間的思考によくマッチしている。エドヒガシとオオシマザクラの交雑が代表的なソメイヨシノの固定種になった。花のつけ具合、樹形のボリュゥム、散り際の情緒、いずこをとってもソメイヨシノは桜の覇者であろう。
それと比較するのはどうかと思うが、ヤマサクラの侘しさは特別である。山肌にポツンポツンとぼんぼりのように散在している図は眺めて飽きがこない。
ソメイヨシノとヤマザクラの相咲きがひとり占めで観賞できるお気に入りの旭川沿い牧石地区に、今年も愛犬をつれてでかけた。
画像:旭川牧石地区 対岸のヤマザクラ
雨は降りはしないがよく曇る。大陸からあるいは日本海で雨雲が発生して列島を覆い尽くす。願わくば晴天のしたでスカッとした花笠を仰ぎたいものだが、粋人好みの花曇りが続いて、一陣の風ではや花弁を散らしても良、瀬の流れにまかせては澱みで渦をまく花筏を眺めて尚良し、枯れた朱塗りの盃に色をのせることである。肴はお重をかさねた手づくりの煮物、焼物が揃えばこのうえなくいいのではないか。
ところが、今日日、そのような趣向は彼方の空にとんでいったようでガスボンベに焼肉、紙コップの酒がはなさかりで喧騒このうえない。酒に馴れない若者が酩酊するととんでもないハプニングを興したりする。
桜は種類の多い樹木のひとつ。汚染の根幹である排気ガス対策のヒマラヤサクラは年末に、一足早くはカワズサクラ、季節季節に咲くシキサクラ、葉を先出して咲くヤマサクラ、それらを人工交雑した種種のものも随分ある。それぞれの愛で方も多様で、日本人の中間的思考によくマッチしている。エドヒガシとオオシマザクラの交雑が代表的なソメイヨシノの固定種になった。花のつけ具合、樹形のボリュゥム、散り際の情緒、いずこをとってもソメイヨシノは桜の覇者であろう。
それと比較するのはどうかと思うが、ヤマサクラの侘しさは特別である。山肌にポツンポツンとぼんぼりのように散在している図は眺めて飽きがこない。
ソメイヨシノとヤマザクラの相咲きがひとり占めで観賞できるお気に入りの旭川沿い牧石地区に、今年も愛犬をつれてでかけた。
画像:旭川牧石地区 対岸のヤマザクラ
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