古寺素描2ー紀州根来寺2
古寺素描2ー紀州根来寺2
 仏教の興隆が旺盛きわめたのは奈良・平安時代で、名だたる教義の現にある宗派はほとんどこの時代に勃興している。
 統治の権威のみならず、かっての桓武天皇のような権力執行をとりもどしたい朝廷側は北条・足利・源氏・平家などの武家と争乱をくりかえした時代で、こなた朝廷は宗教界の庇護のもとに名だたる宗教に錯綜関係をもつにいたった。そのひとつ、大名に与える領地と同じような意味の荘園を各寺院に与えてしまった。寺院は肥り教団化して、わけても紀州では地元大名より多い石高をもち勢力は拮抗、本尊に帰依する僧も衆徒も信徒も抱え込む規模維持にはしり膨張するに至った。版図の拡大を窺う大名や地侍との武力による紛争、あるいは組織体質が自ずとたどりつく、自衛力増強の線上に他宗門との確執をも生むようになった。
 いわゆる「僧兵」のかかえこみである。
 

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