よろず歳時記ー百閒川のいろどり20・裏変化
よろず歳時記ー百閒川のいろどり20・裏変化
 川原に咲く野花がなくなった。
 水面も河川敷も、植物は根茎や球根に生命をとじこめ地上には最小の息吹を残して冬眠にはいっている。
 首にマフラーをぐるぐる巻きにして、北風に押され顔を顰めながら歩いていると、水面に根をおろしている大きな木が白花を無尽に咲かしているのを目にした。
 うん?・・・、名も知らぬ木でいつも見ている筈だがと思い、スポーツコートの縁にあるフェンスに近づき観察した。
 風止みの一瞬をみて、白花のからくりが分かった。緑の精気をなくした葉が北風にあおられて裏返り白花のごとく変化していたのだ。

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