とんび歳時記ー白鷺城2
とんび歳時記ー白鷺城2
 楼閣の多い城である。築城以来、平城であるから紆余曲折の櫓の配置になっておりさながら迷路の構築は、侵入者にたいして何処の角度でも狙えるようになっている。威風堂々たる鶴翼の城閣は平城の防御に完璧な構えである。
 在城の地はかって南北朝時代から姫山と称される小高い丘だった。播磨の士豪だった御着の小寺氏が砦ていどのものを構築したのが発祥、のち家老の黒田家に常駐させ安土桃山時代には中国制覇の拠点として羽柴秀吉の居城になり、大阪の陣から関ヶ原の戦を経て本多氏にうつり、徳川家康が天下掌握のち功労のあった池田輝政に移封せしめ山陽道の鼎に位置づけた。したがって現在の威風城閣は池田輝政の縄張りで完成したもの。

 6層の天守閣は敵を迎え討つ構えとして、当然のことながら上層へいくほど狭く暗く急勾配のしつらえで、老齢の身では長蛇の歩みに、とうとう音をあげてしまった。
 富士山と同様、どの城の天主も遠くからみるもので立ち入るものではないと、つくづく肝に染みたものだった。 

コメント