とんび歳時記ー旭川下流域のいろどり2
 ある記念として、また堤防の強化策として一時期さくらの植樹がさかんにおこなわれた。四季を愛でることと防災との一挙両得で結構であるが、防災をかんがえてみると少し初歩的な疑問がある。およそ寿命が百年といわれるらしいけど枯れて朽ちた根幹部分はいったいどうなるだろう、土中で腐食し微生物に分解されて多分土に還るだろうけどその痕の形態は空洞のままなのだろうか、周囲の土砂がじわじわ埋めていくのだろうか、気の永い期間を要するはしかたがないとしても、陥没し事故をおこしかねないではないか、されば根こそぎ掘り起こすにしても縦横に張った根の排除は容易ではなく、堤防を脆くさせる要因になるのではないか。
 などと、凡人はいらざる探求するものである。
 老樹になると幹に空洞がおこり、名のある樹は治療されてぐるぐる包帯を巻かれては銘木といえども風雅どころかいたましいかぎりである。

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