とんび歳時記ー風媒花・ガマ
 またたくまに季節がすすんで山野の植物は花を咲かせ実をつける。
 秋の山野草はいっせいに花弁を開き、木片の枝は赤や濃紺の実をたわわにつける。
 里山の麓では湿田に特有の穂を葉先の上に伸ばしているのを目にするようになった。
 ガマである。

 ガマの茶褐色の穂は、カマボコの語源で今でいうのならチクワの形である。色といい、そのまんまなのがなんとも微笑ましい。
 風媒花の所以は、穂の下部が雄花で上部が雌花に分かれていて秋深くなると一斉に穂全体に白い小花を咲かせて種子をだいたまま風に吹かれて飛び、落ちた湿地に根をはやし生育域を広げていく。風媒の散るその光景は雪が舞うようで不意に遭遇すると一瞬目をみはるものがある。

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