とんび歳時記ー百閒川のいろどり3
とんび歳時記ー百閒川のいろどり3
 堤防の上はほどよい遊歩道になっている。
 樹木や屋根のある建物など日陰になるものはなにもないので暑い日はたいへん。
 けれど、風が流れると火照った体に涼やか体感をもたらしてくれて足の動きが軽やかに弾んだ。
 小さな秋の匂いをふくんでいるようだ。
 名のしらぬ草が細い穂をいっぱい吹き出して白い側壁をつくっていた。
 なんの巣だろう、その穂をくるくる丸めているのがたくさんみうけられる。
 風がながれるたび連なった波にそれだけが不規則な揺れをみせていた。
 *註 巣ごときは人為の戯
 

コメント